僕とガッコと

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柚木は話が上手く、人に好かれやすい 彼の回りではいつも笑い声が絶えない 僕も彼はイイ人だと思う 友達として、好きだとも思う 対する僕は 基本大人しく、口数も少ない 喜怒哀楽や興味興奮もろもろは人並みにあるが いかんせんそれを伝える技術が無い ヘタだ 伝える方法は人より多分多く知ってるのに それを選択する時点でつまづく そのせいで場をシラケさせたこと 数知れず そのため、僕は入学して暫く 友達をつくらなかった 仲良くもないのに自分のダメな部分をさらけたら嫌われる、と思ったから みんなグループをつくって仲良く弁当を広げる中 自分だけ 独り前だけ向いて弁当を広げるのは 何だかちくちくした 柚木が友達になると ちくちくは無くなった 柚木とのお喋りに夢中で 気付かなかったのかもしれない それから、 柚木の友達とも仲良くなって 弁当は、僕と柚木を含めた5人でとることになった 柚木は聞き上手でもある 僕が無意識にシラケる事を言ってしまっていても 空気が悪くならないように さらりと流してくれた 柚木と2人だけでいるときはこれで良かった でも 柚木の大勢の友達の中ででは さすがの柚木でもフォローできず 場が気まずく冷えたその瞬間 今まですっかりなりをひそめていた あのちくちくが 急速に僕に傷をつけはじめ 痛かった 柚木は僕の知らない友達と話し 僕の中学からの仲のイイ友達は 別のクラスで趣味の合う友達を見つけ なんだか僕だけ置いてけぼりで 僕はあんたらみたく 上手に人に好かれないんだ と 卑屈になって 惨めになった そう思うと もう 柚木も友達も みんな僕に関わるな って叫びたくなって 僕を独りにしてくれ って突き放したくなって 泣きたくなる なのに 独りはさみしくて なんか辛くて 見捨てないでと すがるように 必死で話題を合わせて 懸命に笑顔を浮かべて 媚びてしまうから 僕は ほかでもない 僕の二面性に疲れて 体が重たくなるのだ ああ 今日は何回 泣きたくなるのだろう 愉しげな柚木を見て ぼんやりそう思った
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