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一人で泣いていた女の子。
何故か僕は初対面のはずのその子を抱きしめて、キスをした。
その子は僕の行動に戸惑いながらも、
腕の中で泣き続けている。
泣いている理由はわからない。
だけど一人で泣かせたくなくて、
その子を抱きしめる腕に力を込める。
“僕は…君に一目惚れしたんだ”
それは、報われない恋の始まり。
どんなに君の心が欲しくても。
君は別の誰かを想って泣いているんだね。
《どうか君が幸せになれますように》
泣いている君に、もう一度だけキスをした。
それは傷(いた)みを伴う行為。
僕には一生忘れられないキスになる。
だけど、君への想いを止められない。
切ないぐらいに君の涙に惹かれてしまったから。
そして、後日知った。
君の大切に想っていた人は、僕の従兄弟だと。
双子のようにそっくりな従兄弟。
君が泣いていた日に、
彼は亡くなっていた。
君が僕を拒絶しなかったのは、
僕の中に彼を見ていたからなんだろうと……。
僕と彼は見た目だけじゃなくて、
声や仕草さえ似ていると君に言われるまで知らなかった。
僕と彼が似ている理由を僕自身が真実を知らされるのは、
君と出会ってから半年経った雨の日だった。
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