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「あああぁああっ!!」
響き渡るは人の悲鳴。
斬り殺し、倒れ、引き裂き、倒れ。
朱(アカ)の中、自身も朱にまみれながらも、それでもなお長刀を振るい続ける鬼がいる。
肉を斬る感触も、頭蓋骨を砕く感触も全てが自身を駆り立てる。
夕日を背に、黒髪と赤い瞳をギラつかせ。
血を拭うこともせず、悲しみさえも伺わせず。
同胞からも恐れられるほどの、圧倒的な力。
その瞳は冷酷で、何もかもを射抜く――。
「終わりか人間共……」
そう呟くと、彼は倒れている一人ひとりの頭蓋骨を踏み砕いていく。
それはトドメのつもりか、それとも。
しばらく、頭蓋骨が砕ける音が静かになった高原に響いていた。
鬼は、その行為を続ける。
その動作一つ一つに恨みを乗せて。
その動作一つ一つに憎しみを乗せて。
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