彼と彼女と俺、桜

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俺自身男に恋をするのは初めてだったし、 最初はどうしてこんなにキョウを見ると心臓は早く打つのだろうと数日悩んだ そうしてそれが男女間で起きるものと思い込んでいた“恋心”だと知った 双子とずいぶん仲良くなっていた俺は、確かその日もソウを待っていた。 俺とキョウ、夕暮れ色に染まる教室で二人きりだった 『そ、ソウはまだかな…っ?』 キョウと二人きりという状況がいつも以上に俺の血圧を上昇させた 静かな教室で無言で居るといつか体を突き破るのではないかと心配になるほどの心音が聞こえてしまいそうだった 『そーだねえ』 窓際の俺の席を占領しているキョウは立て肘を付いて赤い街を眺めている 夕焼けに照らされるキョウは、昼間見る柔らかい雰囲気から哀愁漂う大人へと昇華していくようで思わず見とれてしまう 『…なに、』 『や、きれーだなあって』 『それはソウに言ってやんなよ』 『ソウとは違う何かがあんだよ』 『おんなじだよ、おれとソウ』 『同じかあ…』 それなら何故俺はソウではなくキョウを好きになったのか 世間体とかそういうものにもかちりとはまるのはソウだ 俺は本来ソウを好きになるべきじゃないのか? 何度もそう思い、自分を騙そうとしたが、その度にキョウしか浮かばない 笑ったり怒ったりふざけたり落ち込んだり、百面相も顔負けの豊かな表情のキョウ 俺はやっぱりキョウが好きなんだと思う
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