彼と彼女と俺、桜

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「お、雨あがったなー」 授業も終わり、そうじ当番や帰宅部の生徒たちがぞろぞろと校門から抜け出ていくのが屋上から見えた 空の絵の具も先ほどより白に近く、所々に青も混ぜられたようだ キョウが高いフェンス越しに下を眺めているのを横目に、俺は部室の鍵を開けた 昔物置小屋として使われていたから少々ホコリっぽさが抜け切れてないが、今では立派な部室だ 中には天体望遠鏡もあるし、冬の観測夜会用の毛布もある 去年の冬には学校に泊まり屋上に布団まで敷いて双子座流星群を観測した 今年は新部員である双子も含めてペルセウス流星群を観測する予定だ 部室にあるパイプ椅子に座り棚から本を取り出す 部室にある本や早見表は先輩たちから受け継がれてきたもので、 型落ちではあるが愛着もある 受け継がれてきたもののひとつ、望遠鏡には名前が付いていて 誰が付けたのかは不明だか夏に買ったから夏目とみんな呼んでいる 望遠鏡は宇宙を覗く目となってくれるから、夏目
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