序章

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それは、寒い……とても寒い冬の日。 真っ白な世界が広がる中、誰もいない木々ばかりの山。 奥にひっそりと佇む小屋の中。 “待っていろ――” いつ、誰と交わした約束なのかさえ覚えていないこの言葉を守り。 身体を包むほどまで伸びた髪で身体を覆い、いつも通り寒さに耐える。 そんな毎日だった。 …先生に手を差し伸べられたあの日までは。 良く言えば好奇心旺盛な、悪く言えば物好きな。 この先生に出会わなければ、学を知ることなく、世の流れに関わることも仲間と出会うこともなく 一人孤独に朽ちていたかもしれない……。 .
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