第四章 栄太郎の絵

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「はぁ…僕って高杉さんや久坂さん達と違って秀でるものとかないし」 ある松下村塾の一日。俊輔は深いため息をついて落ち込んでいた。 「同い年の栄太とも差があるし…自信無くすなぁ…」 「そんなことはないですよ俊輔」 襖を開けて講義室に入ってきたのは、この松下村塾で色々な事を教授している吉田松陰だった。 「松陰先生…」 「俊輔には俊輔の良いところがあります」 俊輔の隣に座って背中をぽんぽんと叩いて宥めた。 「俊輔は周旋家(政治家)のような人になるでしょう。話の筋をしっかり持っていて、皆をまとめる力もあります」 「先生…僕、嬉しいです!そんな評価を貰えるなんてっ…」 俊輔は目にいっぱいの涙を溜め、鼻水もずびずびと音を鳴らしてすすった。 「ほらほら、泣くほどのことではないでしょう?大和男児の涙は最後まで取っておくものですよ。ほら、拭いて……」 (ふ~ん…。評価かぁ) 二人の話を傍らで聞いていた栄太郎は筆を手にとって、半紙に何かを描き出した。 小輔がそれに気付いて近寄って来た。 「栄太、何描いてんだ?」 「あぁ…これは…」 .
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