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よく見ると、出てきたのは小輔だった。
「山県どうした?」
晋作が声を掛けると、ぐったりと疲れた顔を見せた。
具合が悪いというよりも、落ち込んでいるというのが当てはまる。
「あぁ…晋作。喜助もおはよ…。俺はどうやら“棒きれ”らしい…」
「棒きれ?」
「何だそりゃ?」
何を言ってるのか分からずおうむ返しをする喜助。晋作も聞き返すが、どうやら小輔には届いていないようだ。
「は…はは。義助が羨ましいぜ…」
小輔はそのままふらふらと松下村塾を離れていってしまった。
「…何だったんだ?」
「義助が羨ましい…ってどういうこと?」
考えてみるが、思い当たるところが沢山あって何とも言えない。
「……中に戻るか。何か分かるだろ」
「そうだね」
晋作と喜助は暗くなっている小輔を背に、松下村塾の中へと入っていった。
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