第四章 栄太郎の絵

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中では栄太郎を中心にして塾生らが集まっていた。 松陰先生も興味深かげに栄太郎の前にある“何か”を見ている。 「何やってるんですか?」 「栄太が面白いモノを描いているんですよ」 喜助が中に入り込んでみると、松陰先生がくすくすと笑って答えた。 「これがなかなか的を射ていてね」 「面白い物?」 「……絵か?」 晋作も喜助同様に近づいて栄太郎の机を見てみると、何かが描かれてあった。 鼻輪の付いてない暴れ牛、裃(かみしも)を着けた坊主、木刀、棒きれが描かれてある。 「何だこの絵?」 「何か意味あるの栄太?」 「これは人物評価だよ」 得意気になって栄太郎は晋作と喜助を見やった。 「「人物評価?」」 「松陰先生が俊輔にやっていたのを真似してみたんだ」 名指しされた松陰と俊輔は心当たりがあったので、…あぁ!と言って反応した。 栄太郎は描いた人物評価の絵を晋作に見えるように出して、ある絵を指差していい放った。 「ちなみにこの暴れ牛は高杉さんね」 「んだと!?」 .
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