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「俺のどこが暴れ牛だ!」
晋作の怒号が塾内に響き渡る。
「そういうところがだろ?感情の起伏が激しいし」
「キレたら抑えられないもんね、高杉さんは」
杉蔵が晋作の肩にポンッと手を乗せ、弥二郎も面白がって肘でつつく。
「生き物なだけいいだろ。俺なんか“木刀”だぞ?」
杉蔵は言ってて悲しくなったのか、下へと目を反らした。
動物でもなく道具。
気の毒な気分になって杉蔵を責める気にはなれなかった。
“棒きれ”が山県、“暴れ牛”が俺、“木刀”が入江か……。
(ろくな評価がねぇな……。それに比べて……)
紙に描かれたもう一つの絵に視線を向ける。
裃を身に付けた坊主……。
“義助が羨ましいぜ……”
山県のあの呟き……。つまりこの坊主が……。
「……僕の評価は随分と大袈裟すぎると思うんだが」
同じく輪の中にいた義助は不相応だと言ってやまない。
(……やっぱり。坊主は久坂か)
義助が高評価だと流石に晋作も面白くなく、苛立ちを見せた。
「……おい栄太、贔屓してんじゃねぇぞ」
晋作はあからさまに不機嫌な様子で栄太郎を睨む。
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