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「へぇ~この牛にはそういう意味があったんだ…。じゃあ義助のお坊さんと、杉蔵の木刀は?」
目をきらきらと輝かせて押し寄せる喜助に、栄太郎は近すぎるから離れてと制する。
今度は暴れ牛の隣に描いてある、裃を着た坊主を指差す。
「裃はもともと官位のある武士の礼装、それを堂々と身につける坊主、久坂さんは肝が大きいと言う意味さ」
そうして次は坊主の横にある木刀へ指を移動させた。
「入江さんは本当に凄いよ。入塾して間もないのにどんどん才能を伸ばしていってる。将来有望さ。きっと鋭い刃を持つに違いない」
説明されると、無性に恥ずかしくなって杉蔵は照れ笑いをした。
「…だけど、今はまだ刃を持っていないから木刀ってところ」
「なっ……」
栄太郎にかつがれたと知って杉蔵はずっこけ落ちた。
「残念だったな。まだまだだってよ」
「これから先も伸びるってことだよ杉蔵」
晋作が落ちた杉蔵をからかい、喜助が励ます。
その様子は飴と鞭というのか、喜助の励ましが杉蔵の目が潤ませた。
「喜助ぇ……」
「ちょ…泣くほどのことじゃないでしょ…」
杉蔵を落ち着かせるため肩をさすってやる。
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