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「どこかで見た光景だよね、俊輔?」
「っ………」
栄太郎が意地の悪い顔を向けてやると、俊輔は素早く目を反らした。
(あの姿は今朝の僕と同じだ……なんか恥ずかしくなってきた…)
泣きながらすがり付くあの姿。
女が見せるものなら悪くないのだが……男は…。
(なんだか情けなく見える……)
頭に手を当てて更に深い溜め息を吐く。
すると、ガタンッと大きな音を鳴らしながら大きな男が二人、塾に入ってきた。
「面白いことやってるみたいじゃないか」
「八十郎。仕事終わったんですか?」
「はい、たった今。それより、さっきそこで小輔を拾ったんですけど…」
松陰の問いに簡単に答えると、片手にもう一人の大男を引き摺っているのを見せた。
小輔は何やらぶつぶつと呟いていた。まだ“あの言葉”を根に持っているらしい。
「そんな棒きれを拾ったような言い方…」
「あ、棒きれ」
「やめろおおぉお!!その語句は禁句だああぁぁ!!」
義助に弥二郎に、口から次々と発される“棒きれ”という語句に耳を塞ぎながらも過剰に反応する。
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