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羽柴家の軍門に降った利綱は、領主が変わった事に対する領民の不安を抑えるために松倉城城主に任じられていた。
だが、そんな利綱を襲ったのは絶え間なく続く無気力感だった。
この一年間、大名として精一杯ひたすら走り続けた反動が利綱から気力を奪っていたのだ。
小町が利綱を気遣って宴を開くもいまひとつといった感じ。
そんな中、松倉城に配属されていた利綱の新たな配下の細川忠興と細川玉(ガラシャ)の夫婦間で、度々喧嘩が起きていた。
喧嘩の火種は、妻の玉がキリスト教徒であるという事だった。
最近、主君の秀吉がキリスト教弾圧に乗り出し、それを危惧して忠興は妻がキリスト教を信仰する事を反対していたのだ。
しかし、なかなか互いの想いが通じず忠興はとうとうキリスト教の教会の焼き打ちを決行する。
教会が焼け落ちていく中、ガラシャの言葉で目を覚ました忠興。
まだ拭えない壁はありつつも、久々に夫婦の心が通じ合ったきっかけだった。
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