帰依

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翌日、フリックは利綱の部屋を訪れていた。 普段ならば笑顔で入室するフリックなのだが、今日は何処か神妙な面持ちであることに利綱は気付いていた。 表情からは、何か並々ならぬ決意が伺えていて、そんなフリックが話を切り出した。 利綱 『今・・・なんと・・・?』 フリック 『明後日に国へ戻ろうかと思っ  ております』 利綱は、フリックの突然の申し出に驚きを隠せなかった。 利綱が詳しく理由を聞いてみた所によると、松倉の地を拠点とした日本でのキリスト教の布教活動にある程度の成果を上げる事が出来た。 それに、秀吉がキリスト教徒弾圧を始めたことにより、自分がここに留まる事で利綱の立場が危うくなるのを恐れたからだというのだ。
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