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フリックは元々、ある宗教団体に所属していて一つの国に長居するという事が難しい状況にあった。
何故なら、キリスト教を全ての国に広げるという事をこの団体は念頭に置いていたからだ。
それだけは、この団体に所属する宣教師全てが最優先しなければならなかった。
フリックは、さらにもう一つのお願いをしてきた。
それは、この松倉の地で信者となった者達を弾圧の手から守ってほしいというのだ。
だがこの願いに関しては、利綱は憤りを覚えた。
松倉城の城主として民を守るのは当然の事だが、この地でキリスト教を布教させた事に関してはいわばフリック自身が撒いた種。
それにも関らず、自分は国へ戻り利綱に後を託すなど笑止千万だった。
もちろん、願い出た本人もそれは重々承知していた事ではあった。
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