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利綱は迷っていた。
これまでフリックが利綱に貢献した功績を考慮すれば気持ちよく送り出したいという気持ちはあった。
だがそれだけでは、皆が納得しないということも分かっていた。
利綱はしばらく黙りこんで考えた。
そして、迷った末に気持ち良く送り出す事を決意した。
フリックは、この我儘な願いを聞き入れてくれた利綱に涙を流しながら何度も何度も頭を下げた。
利綱はそんなフリックを見て、これで良いのだ、これで良いのだと自分に言い聞かせた。
利綱の思い遣る気持ちが、自分自身を苦しめていた。
利綱はその夜、皆を部屋に集めフリックが明後日に国へ帰る事を話した。
案の定、この事に対し激怒し反対する者が続出した。
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