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利綱
『忠興殿、この地に留まる事で
身の危険を感じるのならば去
り行くのも一つの選択です』
忠興
『私は先日の汚名をまだ返上し
てはいない・・・このまま去
る訳にもいかぬでしょう』
もはや、利綱のキリスト教の帰依に反対する者はいなくなった。
だがこれは、秀吉への背信行為である事には相違ない。
この先、秀吉と再び衝突する日がくるかもしれない。
ここで利綱に反対しないという事は、事実上利綱に加担したも同然なのである。
この場にいるもの全てが、それを自覚していた。
利綱は、ガラシャから洗礼を受けて英雄という意味を込めて《前田ルイ》が洗礼名となった。
ここに、キリシタン大名・前田利綱が誕生した。
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