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利家
『秀吉様、ここで利綱を討てば
羽柴家に忠誠を誓う他のキリ
シタン大名の処分まで急がね
ばなりません!』
秀吉は怒りを一旦沈めた。
確かによくよく考えてみると、ここで利綱を討ってしまえばキリシタン大名が秀吉に不信を抱く恐れがある。
それらの者達に謀反を起こされでもしたら、天下人を目指す秀吉にとって大きな障害となる。
先日、キリシタン大名を処刑した秀吉だったが早とちりしたと多少後悔している気持ちもあった。
故に、ここは利家に任せ使者に行く事を許した。
それからまた三日と経たぬうちに、利綱の元へ到着した。
利綱と対面した利家は、何故キリシタンとなり秀吉の怒りを買う真似をしたのを尋ね、諌めた。
しかし、何度言っても利綱の意志は固く、キリスト教を捨てる事はしなかった。
だが、秀吉に対抗する気だけはさらさらないという事を利綱は訴えた。
利綱を説得できないまま、利家はしぶしぶ城を後にした。
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