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それにしても、何故ここまで利綱はキリスト教を捨てようとしないのだろうか。
それは、キリシタンとなってから一日一日毎にキリスト教の素晴らしさにのめり込んでいったからに他ならなかった。
利家は去った後、松倉城に訪問してきた者がいた。
キリシタン大名の高山右近である。
右近も今苦しい立場で、最近キリシタン大名になった利綱の事を聞いて相談しにきたようだ。
右近
『そなたも現在のキリシタンの
状況を分かっていよう』
利綱
『はい』
右近
『このままでは、いずれ秀吉様
から処分が降ろう。利綱殿の
考えをお聞きしたい』
利綱
『今は語る気になれません』
利綱は多くを語ろうとはせず、沈黙を貫いた。
何故ならそれは、ある思いがあったから、そしてその思いは秀吉が使者を立てた時から考えていた事でもあった。
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