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利綱
『私もキリスト教は素晴らしい
モノだと思っております。捨
てる事などできません』
行長
『ならば、どうすると?』
利綱は息を呑んだ。
場には一瞬の静寂が訪れた。
行長
『まさか・・・?』
利綱はフッと笑った。
利綱
『それは最終手段です。秀吉様
と争った所で勝機は薄い。出
来るだけ衝突は避けたい』
行長
『よもや利綱殿がそこまで考え
ていようとは・・・』
利綱
『この事は内密にお願いしま
す。もしも他言するような事
があれば、こちらとて行長殿
に対して容赦はしません』
利綱は、先程とは打って変わって冷徹な目つきで行長を睨みつけた。
これが、若くしてあの秀吉を苦しめた前田利綱なのかと背筋が凍る思いだった。
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