第三章

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「…はぁ」  盟子は溜息をひとつ付き、シャワーの水を止め、バスタブの淵に座る。  盟子は、何者かに体を操られ、最終的に蓮の腕の中に落ちた凛を、急遽作った凛専用の部屋のベッドに寝かせて、シャワーを浴びていた。 「……」  盟子は、自分の左腕を見る。  その腕には真っ赤な紋様が、今は失われた文字が、刻まれている。人から見ればただの刺青に見えるのだろうか? もっとも、ほどんど人に見られていないからわからないが。  盟子はその『刺青』を見つめる。きつく、睨むように見つめる。  時間が経つにつれ、広がっていく『刺青』を――
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