第三章

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「蓮、…でいいよね? 蓮は、私を……私を、知っているの?」  それに蓮は驚いたように目を見開く。蓮の感情を表にした顔を見るのは、これが初めてだった。  蓮は下を向いた。何かを考えているようだった。 「…ね…………」  蓮はそう小さく言って、こちらを見る。  真っ直ぐ、凛の瞳を見つめる。  同じ顔の。  同じ瞳を。  そして、突然顔を歪める。悲しそうに、顔を歪める。すぐにでも涙が零れ落ちそうな顔だった。  その時――… 「お待たせー。待たせて悪いね」  と、背後から盟子の声が聞こえた。それに凛はハッとして振り返る。
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