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呆然としている私の目の前で、日出子は先ほどまでの沈黙が嘘のようにべらべらと話し始めた。
「もう、綾乃ってば。いつになったら私に告白してくるのかなって、ずっと待ってたのに。告白するのが高校の卒業式って、遅すぎ。ほんと、へたれなんだから」
人好きのする優しげな笑みを浮かべながら、口に出す言葉にはどこか棘がある。
呆れた色を隠そうともしない日出子の言葉に、顔が熱くなるのがわかった。
「いつ、から、気付いてた?」
「え、いつからって言われても…………ああでも、中二の冬くらいには、もう綾乃は私に惚れてたよね!」
「な……っ!」
愕然とする。
四年。
少なくとも、四年も前からこの恋心は気付かれていたのだ。
そしてその間、彼女は私に対して何のアクションもせず、ただ告白されるのを待っていたということになる。
体の底から、ふつふつとよくわからない怒りが湧き上がってくる。
それを知ってか知らずか、日出子は無邪気に私に笑いかけた。
「うん、じゃあこれで両想いってやつだね! よかったね、綾乃!」
その言葉を聞いた直後、
私は好きで好きでたまらなかった彼女のその横っ面を、
思いっきり、殴り飛ばしていた。
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