顛末

19/21
前へ
/24ページ
次へ
それは、複数の人物からコメントされたものではなく、ある一人の人物──『アサミ』によって、書かれたものだ。 アサミ。 アサミアサミアサミ。 着替え終わり、羽織ったコートのポケットに財布を突っ込んだコウジと、一瞬、目が合った。 「…………」 けれど、コウジは何も見えなかったかのように両眼を逸らし、私の身体を跨いで部屋から出ていった。 ガチャリ、と鍵の閉まる音がする。 続いて、離れていく足音が。 コウジ……。 好きだったのに……。 私は何も悪くないのに……。 コウジ……。 アサミ……。 なのに、アイツらは……。 アイツらは……!
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3207人が本棚に入れています
本棚に追加