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結城は何が起こったのか一瞬理解出来なかった。瞬時にわかったのは自分の唇に柔らかい感触。 「…ん…、ぅ…」 上手く呼吸が出来ない。苦しい。 「…!?…ッ……んん!」 ぺろりと唇を舐められた。結城は驚き、固く瞑っていた目を思わず見開いた。するとこちらを見つめていたらしい菜奈と目が合い、気まずかったのでまたその瞼を閉じた。 それはとても長い時間だった。いや、もしかしたら二秒程の短い時間だったかもしれない。 もし、仮にそうだったとしても、結城にとっては長い長い時間であった。 金縛りにでもあったように固まった結城をいいことに、菜奈は結城の手を取り頭上で固定した。そして首元に顔を埋め深呼吸をした。 「っはぁ…。ちょ…!なに、何だよッ」 それには流石に焦った結城は、ジタバタと暴れ出し菜奈を睨みつけた。 すると菜奈は意外にもあっさりと拘束していた手を解いた。 それから暫くは二人の息づかいと、時計の針が時間を刻む音のみが部屋に響きわたっていた。
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