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「シャケ!どったの?あ、お腹空いた?」
そういわれると、シャケという名らしい飼い猫は、未空に寄り添ってごろごろと喉を鳴らした。
「~…っ、はぁ…しゃ、シャケ久しぶり」
「何年振りだろうね?シャケは結城覚えてる?」
未空がそう言いながらシャケを撫でると、気持ちいいのかスリスリと体を擦り付けたあと、ごろりと寝転がり腹を見せた。
その様子を見ていた結城が、シャケがあまりにも心地よさそうな表情をしていたので、つい手を伸ばした。
シャアァア!!!
「ぎゃあああッ?!何だよあたしの事忘れたのか~?」
シャケは威嚇しながらネコパンチを繰り出した。
「うーん、シャケは忘れっぽいからねぇ」
「泣いちゃうぞ…いろんな意味で泣いちゃうぞ」
「?」
にょーん?
それから二時間後。
「…で1または2の目が出る事象をA1、試行T2で表が出る事象をA2とすると…」
「…??ん?」
「だから…P(A1)=」
「ああ、むりぃいいい!!」
全然わからない、と呟いて机に頭を伏せた。
「…はぁ。もうっ!頑張ってよ。広美みたいに単位落として留年しても知らないよ?」
「…だってよぅ」
結城は顔を上げ、ぶぅと頬を膨らませ、いかにも不満げな表情を見せる。
「何?私の教え方がダメ?ふーん」
「違う!違います~!」
「じゃあ文句言わない!次は数学Ⅰやるかぁ…!」
「…うげぇ」
「ん?」
「わ、ウワーイ。タノシミデス!」
「…ふふ」
ピンポーン
突然、未空の部屋にチャイムの音が鳴り響いた。
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