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「誰だろ…?はーい!」
駆け足でドアに向かい、勢いよく開けるとそこには未空の後ろの席にいて、今日仲良くなったばかりの中村菜奈が立っていた。
「菜奈!どうしたの?てかよく家分かったね」
「うーん…何となくさ。お邪魔してもいいかい?」
軽く言葉を濁した菜奈は、部屋の奥にいる結城を覗きこむように見ながらそういった。
未空はその行動に少し疑問を感じながらも、快く向かい入れた。
「お邪魔します」
「狭くてごめんね!今二階からジュースとか持ってくるから、適当に座っててー」
「ありがとう」
菜奈が座ると結城はちろりと目を菜奈に向け手を挙げ軽く挨拶をした。
「よぉ、中村サン。なに?秀才の中村さんもわざわざ勉強しに来たの」
結城が少し顔を歪ませながら特に興味はないといった風に問うと、菜奈はまた妙に不適な笑みを浮かべながら結城の問いを否定した。
「秀才なんかじゃないよ。バカだよ、僕は」
「は、どーだかねぇ」
「上田さんは僕に冷たいね、もしかして嫌いなのかな?」
「…冷たいか?あたしはいつもこんなもんさ~」
あはは、とどこかぎこちない笑顔で笑い飛ばす結城に菜奈は優しく微笑んだ。
結城は予想外の笑顔にドキリとした。こんな人間らしくも笑えるのか、と。
「そうか。それはよかった。僕は君が好きだから」
だから君のこともっと知りたいな。と付け加え。
キスをした。
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