序章

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   雪は降り積もり、白く大地を覆いつくす。  空は薄暗く黒く濁り、とめどなく降り続く雪。  トーシャは歩き続けていた。その道のない森のなかを。  そして、 いい加減飽きるほど、どこを見ても自分の視界に映るのはずっと同じ。  雪で白く覆われた地面。    雪がかかり、白色に染まる針葉樹林の類。  雪が目の前をちらつかせるこの鬱陶しさ。  だが、ひとつだけ言えることがある。 まだ一度も動物を見ていないということだ。  無理もない。  こんな極寒の地域だ、冬眠しない方がおかしい。  遭遇なんてしたくはなかった。  それにしても、だ。 もう四日は歩き続けただろう。  にもかかわらず、この森から抜け出せないというのは一体どういうことなのか。 「おかしいな…」  森に入る前からずっと南の方向へ歩き続けた自信はトーシャにはあった。  そして、この森がどれくらい続いているのかということも大体暗記出来ていた。  それがこの有様だ。  気付いてはいたが、やはりそれを鵜呑みにしたくはなかった。
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