101人が本棚に入れています
本棚に追加
隣で横たわっているのは、人間の女、というべきなのだろう。
そして場所が場所だ。
眠気で意識が朦朧とした中でこんなふわふわした羽毛の寝床で眠らずにやり過ごすことなど出来るわけがない。
「……お願い」
目を瞑ろうとした瞬間にこれだ。
「な、にを」
「わかってるくせにそんなこと言うもんじゃないよ」
そう言うと、女、いや小娘はぴったりと身体をくっつけてきた。それからゆっくりと甘い息を吐く。
端から見れば普通は嬉しく、そして羨ましい限りなのだが、その小娘は時を選ばない。
故に痴女。
しかし、その麗しい瞳で見つめられたら、意外と純情なのだと再認識出来るのだ。
艶めかしい口調はいつものことだった。また、青年、トーシャが心悸亢進するのもいつものことで、必死に理性が崩壊するのを防ごうとするが、そうもいかない。
別に我慢する理由があるわけでもないし、ただ、「あの感触」を覚えたのには、まだ自分は早すぎたのではないか、と思ってしまう。
いつものことだった。
最初のコメントを投稿しよう!