プロローグ

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 「将軍たち」の行動はまさに死神だった。  命令を実行しない奴は仲間であれ、抹殺する。 絶対に逆らうことは出来ない。  それにその命令自体が有り得ないのだ。とことんひねくれた秩序で尚且つ犠牲も多い。  そんな感じだった。  どこの国でも、軍はある。強さで言えば、エストバキアが一番強いと民衆は言うだろう。  今や「将軍たち」が国王を押しのけ、思うがままに国を動かしているのだから。  民の要望も聞かぬまま。  なお、こういった軍国主義国家には、徴兵制度が採用されている。  10代の男子から義務づけられており、なかでも若者だけで結成した部隊が各地で戦っているのは、よくある事だった。  しかし、経験が少なく戦場を知らない者がまともに戦える訳がない。  捨て駒にされるのだ、しかしそのおかげで押しの一手が出来て、敗北など存在しなくなった。  どう転んでも、一度戦場へ行った若者のほとんどがそこで散ってゆく。  それは死に花を咲かすとはとてもじゃないが、言えなかった。  もはや誰が生き残って誰が死んだのかは、局外だ。  死を悲しむのは肉親ぐらいだろう。だからこそだ。  こんなことで死にたくない。  でも、どうすればいい?  結局逆らうと処刑されて、死ぬ。  ならば、  ならば?  方法は、それしか浮かばなかった。まあ、随分前から数人は試みたことだが、どうなるかは分からない。  ある青年もそうだった。
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