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もう一ヶ月以上も奴からのメールはきてない。
こないに超したことはない。
でも、奴からのメールに怯えて暮らすのは気に食わない。
だからもう忘れ去る事にしたのさ。
「ま、きたらまた教え――」
人が話そうとしている時に、鞄の中で何かが振るえ始めた。
「どうした?」
「んー? 携帯鳴ってるっぽい。たぶんメール」
「お、奴からじゃね!?」
「止めてくれ、恐ろしい」
鞄を漁っている私を見て、華南が声を掛けてくる。
声を掛けるのはいいが、恐ろしい事を言うのだけは止めてほしい。
ホントに奴からだったら困る。
「………………ゲッ」
「どうした!? 奴からか!?」
とても楽しそうに言う華南に、私はゆーっくりと携帯の画面を華南へと向ける。
「あらま。それはそれで嫌だわな」
「うん……とても嫌だともさ」
私が思わず「ゲッ」と言ってしまう程嫌な人物。
華南もそれはよく知っている。
だから、私が嫌がってる事もよく知っている。
そのメールの相手は私が恐れていた幼馴染みではなく、その兄だった。
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