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アタシは田舎からたったひとりでこの街に出てきた。
自分の生まれ育ったあの町が嫌いで、1日でも早く出たかった。
ここに住んでる人も景色もみんな嫌いだった。
考え方が古く、頭堅いし、ダサくて、流行りの服装したり、ちょっとみんなと違うことしようものなら、変人扱い。
そんなやつらが住む、この町が大嫌いだった。
だからアタシは一生懸命バイトしお金貯めて、高校と一緒にこの町とも卒業しようと思ったんだ。
片道の新幹線代としばらく暮らせるお金は稼いだし。
そのために友達と遊ぶ時間なんて全くなかった。
でもこの町の人間と友達になんてなりたくなたかった。
アタシはいつもひとり。
ひとりが一番気楽だった。
家族はひとりっ子で兄弟はいない。
父はアタシが5つの時にこの世を去って、母は水商売の道に入った。
アタシを育てるために男をコロコロ変えながら、スナックのママさんしていた。
色んな男が出入りするたびに早くこの家から出たいと思うようになったんだ。
卒業式の日に…
アタシはこの町を出ようと決めていた。
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