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あたしはなにを言っているのだろう。
ただ呼びたいからなんて、そんなの理由にはならないよね?でも本当にただそれだけで……あたしが朝子と呼ばれて幸せになるように、てんちゃんもそうなればいい。
「……朝子」
てんちゃんは抱き寄せていた膝を解放すると、本棚ギリギリの位置まで脚を伸ばす。そして空いた左手を、あたしの背中にぐるりと回した。
「!?」
てんちゃんの指はゆっくりと這いながら背中を横切り、後ろからあたしの腰を抱き寄せる。
「……っ」
……ズキ……ズキ……ズキ……
あたしの心臓はもう限界で、寒くもないのにカーディガンに包まれた体は赤く震える。てんちゃんは前を向いていた顔を上げると、あたしの右耳に鼻先をかすめて囁いた。
「じゃあ……もっと呼んでよ」
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