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ああもう……このまま消えても悔いはない。これ以上の幸せなんてこの世にあるのだろうか……
昨日からてんちゃんに対する罪悪感と劣等感だけが堂々巡りをしていたけれど、もうどうだっていい。初めて聞いたてんちゃんの本音。
答えはここにある。
見ていて癒される可愛さ、話して楽しい性格……そんなものは欠片もなくて、それでもてんちゃんは一緒にいてくれる。
いつだってあたしは全てを許されていたんだ。
「て…………内田先輩って……見る目がないんですね……」
これが最後の悪あがきだと叫んでいるようで、原田さんの嫌味は響いてこない。クリアになった脳が受け付けるのはただ一人の言葉だけ……
「そうかな?オレ、人を見る目はあると思うよ……?」
ほら、届いた。
自然と溢れ落ちる涙も、こういうのなら悪くない。静かに頬を伝う雫をそのままに、あたしはお腹に溜まった黒い感情を深呼吸で丁寧に吐き出た。
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