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図書室の床に座り込む状況にそろそろ違和感を感じつつも、もう少しの辛抱だ。
微かに見える栗毛を観察しているとてんちゃんの顔が持ち上がる。そして本を元の位置に納めると、床を軋ませて歩き出した。
良かった……どうにかバレずに済みそう……
「……んん……」
あたしは手を組み、本棚ギリギリまで前に伸びる。縮んでいた体が自由になって血が巡り出すと、ピンと張り詰めていた緊張の糸も緩んでしまって……てんちゃんがどこに向かっていたのかなんて、気にも止めていなかった。
「……朝子」
「……」
え……?
正座を崩したような座り方で伸びをする間抜けなポーズのまま、左隅にいたあたしは右側に続く本棚の先端を見る。そこにはひょっこりと左半身を覗かせたてんちゃんの姿。
「見つけた」
まるで蝶を見つけた子供のような口調だ。思考回路が止まったあたしはポカンと口を開け、微笑むてんちゃんを見上げた。
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