天然至上主義3

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「……知ってたの……?」 「ん?」 「あたしがいるって……」 手を伸ばせばすぐに届く距離にいるのに、触れられない。顔も見れない。いろんな意味でドキドキする。 驚きですっかり引っ込んでしまった涙のあとをゴシゴシ擦っていると、てんちゃんは本棚で見えていない勉強スペースの方向を指差した。 「向こうの机にころがってる天使のシャーペンって……朝子のだろ?昨日レポートの本の話もしたし、なんとなくいるかなって……」 「……」 そんなところからバレていたなんて、初めから三人で会話していたようなものじゃないか。 「ご……ごめんなさい……盗み聞きするつもりじゃ……」 あたしは借りたばかりの本を抱き締め小さくなると、意図したかのようにハラリと落ちた横髪が青い顔を隠す。 しかしすぐにあたし以外の熱が右耳の付け根に触れて、アーチを描きながら後ろへと辿り、耳に髪をかけた。 まるでこれからの全てを、聞き逃すことのないように…… 「オレは……朝子に聞いて欲しかった」
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