天然至上主義3

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カーディガンの比ではない本物の温もり。てんちゃんは立てた膝を手で抱き寄せて、更に体重をかけてくると独り言のように呟いた。 「やっぱり……ここが一番落ち着くな……」 あたしはこの時、初めて知った。 人を好きになって胸が鳴りすぎると、ズキズキ痛くなるんだって…… ねえ、てんちゃん。それはどういう意味なの? 図書室だから?静かな夕暮れだから?あたしの……隣だから? 本当にこのまま寝てしまいそうなてんちゃんに、あたしはどこまで自惚れていいのか…… ドキドキ、ズキズキ。この音が聞こえたらどうしようって思うのに、衝動が抑えられない。あたしは肩にもたれかかるてんちゃんの頭に、そっと自分の頭を重ねた。 「……てんちゃん……」 「……なに?朝子」 「なんでも……ないんだけど……」 「けど……?」 「……ちょっと……呼びたくなって……」
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