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そう、葵の得意分野は、召喚系なのである。
しかも、雷属性だけではなく、威力は弱いながらも他の精霊も呼べてしまうのが、葵の最大の利点。
学園側も、この力に関してはかなりの過大評価をしているらしく、一年の時は俺と晴信とは違い、いきなりのSクラス入学だった。
中学の時までは同じクラスだったのに……。
てか、あの時の葵、なんだか寂しそうな顔をしていたような気がするんだが……気のせいだろう。
「えへへ♪やったよ、瞬一♪」
俺の方を見て、Vサインを送る葵。
……気づいてたのか、俺がいたこと。
俺は葵に、右手親指を立てて、突き出して見せた。
*
さて、いよいよ最後の勝負となるようだ。
ここまでの戦いで、かなりの人が保健室送りにされている。
まぁ、ここまでやる必要はないだろ……普通。
「それにしても瞬一」
「何だ?葵」
俺の隣の席には、先ほど戦闘を終えたばかりの葵が座っていた。
……あれ、何か人を殺せそうな冷たい目線を感じるんですけど。
「あの術使えるようになってたんだ」
「ああ……ちょっと前に習得したんだよ。この日のためにってわけじゃなかったんだが、一応そうしといた」
流れでそんなこと言っちゃったしな(晴信に)。
「凄い威力だったよ……瞬一って、やっぱり凄いよ!」
「俺なんかよりも、お前のほうが凄いって。一年の時からSクラスに入ったなんてよ」
正直、葵に勝てる自信がないんだけど。
「けど私……一人だけでSクラスっていうのも、なんだか寂しかったな……」
「何言ってんだよ。お前にはもうSクラスの友達がいるじゃねえか」
「そういうことじゃないの……出来れば、瞬一もSクラスに来てくれたらよかったかな……なんて」
「え?俺?」
瞬間。
ギン!と、明らかにヤバい眼差しが、俺のことを貫いてくる。
や、やばい……こいつ、出来る!!
「どうしたの?瞬一」
「いや、ちょっと寒気が……けど、何でもない。気にするな」
俺のことを心配して、葵がそう言葉をかける。
余計は心配はさせたくないので、俺はそう言葉を返す。
……本当に心配はいらないわけだしな。
「そう?ならいいんだけど……」
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