クラス分け試験

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「太古より眠りし聖水よ。我の名に答え、その身を変え彼の者を包みこめ!」 科学魔術師の最大の特徴として。 呪文を詠唱しながら、その機械を操作することにある。 例えば携帯なら、まずは魔術を発動する為の始動キーを入れる。 そして次に、呪文キーを入力し、最後に発動キーを入力する。 なんとも面倒くさい操作なのだろうか。 だがしかし、 「あいつ、動きが速いな……」 「そうだね。科学魔術師の中でも速いほうだと思うよ」 なんでったって、あいつはSじゃなかったんだ? ……A止まりだったってことなのか? 「アクアラップ!」 「そう簡単にはいきませんよ!……大地よ、轟け喚け泣き叫べ!」 一之瀬が攻撃した男子生徒が、呪文を詠唱する。 瞬間。 「え!?」 大地が、揺らいだ!? 地震を魔術で発動させたってわけか……。 「ロットシェイク!!」 でも、地震を起こしたからどうしたって言うんだ? ……ってよく見ると、その男子は新たな呪文を詠唱し始めている。 「我が呼び声に答えよ!……グラッド!!」 精霊を呼ぶための布石だったのか!? 「ロックアート!!」 そして、地面の精霊は、岩石を周囲に投げつける。 その岩石により、一之瀬を除いた二名は、ノックダウンしていた。 「水の壁、我の身を守れ!」 一之瀬は、若干遅れて防御魔術を発動させる。 一之瀬の周りには、たった今発動したばかりの水の壁が張られていた。 「ちっ。命拾いしたな」 攻撃は収まったらしく、岩石は飛んでこなかった。 しかし、水の壁は張られたままであった。 「どういうことだ?攻撃が収まったなら、もう……いや、これは」 「あの人、このまま魔術を発動する気だよ」 相手に見られないようにするための目隠しか? でも、逆に術の詠唱者からも、相手が見えなくなってると思うのだが……。 そして、次の瞬間。 「な!?」 なんと、水の壁が上空に舞い、球体になった!? 「ちっ……科学魔術師なのに、なんてスピードだ」 そのスピードは、最早Sクラスのもの。 一之瀬って、本当は凄い奴だったんだな……。 もしかして、あの時不良達に抵抗しなかったのは、偶然携帯を置いてきてしまったからか。 「これで終わりです……アクアインパクト!」 そして球体を維持しつつ落ちてくる、それ。 恐らくは、一之瀬が使える上級魔術の一つなのだろう。
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