某国王女の来日

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「ふぅ……終わった終わった」 帰り道。 俺はそんなことを漏らしていた。 「さて、俺はどのクラスに所属することになるのかね」 「あんだけ大見えきって、結局またBだったりしてな?」 「不吉なことを言うな……案外当たりそうで怖い」 確かに、あれだけ宣言しといてBだったら……本当に怖いな。 「葵はまたSかね?」 「そうかもしれないけど……出来れば瞬一と同じクラスになれたらいいなって」 「晴信は?」 「晴信も……ね?」 「俺はついでかよ」 葵の言葉に、多少晴信が悲しそうな声で言う。 それが可笑しくて、俺と葵は声を揃えて笑う。 晴信も、俺達につられて笑う。 「それはそうと、これからどうすんの?今日はこれでもうすることがないわけだけど」 「俺は……しまった。今日の夕飯の材料がないんだった」 「あ、俺は帰っていろいろしないといけないことが」 「私は家に帰らないと、妹が帰ってくる前に家の鍵開けなくちゃならないから」 妹? ……って、 「妹いたの?葵」 「え?うん。空って言うんだけど」 「へぇ……今度機会があったら会ってみせてくれよ」 「うん、機会があったらね」 さて、新たなる事実が判明したところで、そろそろ俺は帰るとしますか。 「それじゃあ、ここでお別れか」 「ああ、そうだな……」 言い忘れていたが、この学校には確かに寮はある。 でも、葵のように家から学校まで近い人は、寮に泊まらず自分の家から通うことも出来るのだ。 最も、そんなの少数派なのも事実なのだが。 「そんじゃ、また明日学校で」 「出来れば同じクラスでな」 「お前は希望薄いけどな」 「余計なこと言わないでくれ!」 晴信が騒いでいる中、俺と葵は別の道を歩く。 晴信は慌てて葵と同じ方向に走っていく。 さて……俺も買い物済ませて、さっさと寮に戻るとするか。 * 「……なんで」 思わず俺は、そう呟いてしまっていた。 買い物で買った夕飯の食材は、先に空間転移魔術を使い、寮の俺の部屋に送っておいた。 後は、俺が寮まで帰ればいいだけの話。 ただし、未だに自分の体まで空間転移させる魔術師を聞いたことがない。 出来て、自分が触れた、自分の体以外の物なのだ。 ようは、自分で自分の体に触れた所で、空間転移出来るわけではない。 最も、それが他人となると話は別なのだが……ややこしいからその辺は省く。 俺が言いたいのは、 「こんな所で、何で女子が追いつめられてるのかってことだ」
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