某国王女の来日

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……まさかうちの高校に用事があるとはな。 何だろう、転校生か? 外国人の転校生か……やばいな。 うちの学校の猛者共が黙っちゃいねぇ……。 最も、そういうのは大体女子によって鎮圧される運命にあるのだがな。 ドンマイ、晴信♪(いや、まだ決まったわけじゃないけど)。 ていうか、転校生だとして、八クラスもある中で俺達と同じクラスになるとは思えないけど。 「そうなんですか!私も歳で言えば同い年なんです!」 ……おっと。 I's a miracle!! ……歳で言えば同い年って部分が若干気になるが、これでちょっとした可能性が出てきたな。 「奇跡ってのは、ここまで来ると怖いな……」 「どうかしたんですか?」 「あ、いや、なんでもない」 アイミーは、首を傾げながらそんなことを尋ねてくる。 慌てて俺は否定してみせた。 そんな風に、妙な盛り上がりを見せていると、 「お嬢様!!」 遠くから誰かが走ってきた。 ……お嬢様? 「シュライナー!」 「……へ?」 シュライナーと呼ばれた男……いや、青年という表現の方が正しいだろう。 何故なら、俺より歳とってるといっても……かなり若い。 二十代前半くらいだろうか? 銀髪のショートヘアー、銀色の瞳。 そして何より、無駄のない体つき。 ……好印象を与える青年だった。 この青年が、さっきまでアイミーが探していたという、シュライナーか……。 「てか、その前に、お嬢様って?」 シュライナーがどうのこうのという話ではない。 とりあえず、アイミーはシュライナーにお嬢様と呼ばれた気がする。 それが何を意味するのか、分からなかった。 「ちょっとした事情がありまして……それじゃあ私達はこれで」 「あ……」 いつの間にかやってきていた黒い車に、アイミーンとシュライナーは乗り込む。 俺が話しかける前に、その車はどこかへ走り去ってしまった。 「……」 伸びた手は、やり場もなく宙を彷徨っていた。
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