50人が本棚に入れています
本棚に追加
……まさかうちの高校に用事があるとはな。
何だろう、転校生か?
外国人の転校生か……やばいな。
うちの学校の猛者共が黙っちゃいねぇ……。
最も、そういうのは大体女子によって鎮圧される運命にあるのだがな。
ドンマイ、晴信♪(いや、まだ決まったわけじゃないけど)。
ていうか、転校生だとして、八クラスもある中で俺達と同じクラスになるとは思えないけど。
「そうなんですか!私も歳で言えば同い年なんです!」
……おっと。
I's a miracle!!
……歳で言えば同い年って部分が若干気になるが、これでちょっとした可能性が出てきたな。
「奇跡ってのは、ここまで来ると怖いな……」
「どうかしたんですか?」
「あ、いや、なんでもない」
アイミーは、首を傾げながらそんなことを尋ねてくる。
慌てて俺は否定してみせた。
そんな風に、妙な盛り上がりを見せていると、
「お嬢様!!」
遠くから誰かが走ってきた。
……お嬢様?
「シュライナー!」
「……へ?」
シュライナーと呼ばれた男……いや、青年という表現の方が正しいだろう。
何故なら、俺より歳とってるといっても……かなり若い。
二十代前半くらいだろうか?
銀髪のショートヘアー、銀色の瞳。
そして何より、無駄のない体つき。
……好印象を与える青年だった。
この青年が、さっきまでアイミーが探していたという、シュライナーか……。
「てか、その前に、お嬢様って?」
シュライナーがどうのこうのという話ではない。
とりあえず、アイミーはシュライナーにお嬢様と呼ばれた気がする。
それが何を意味するのか、分からなかった。
「ちょっとした事情がありまして……それじゃあ私達はこれで」
「あ……」
いつの間にかやってきていた黒い車に、アイミーンとシュライナーは乗り込む。
俺が話しかける前に、その車はどこかへ走り去ってしまった。
「……」
伸びた手は、やり場もなく宙を彷徨っていた。
最初のコメントを投稿しよう!