某国王女の来日

9/42
前へ
/156ページ
次へ
とりあえず校舎の中へ入った俺と晴信は、自分の教室を目指して歩いている所だった。 「まさかお前と別のクラスになる日が来るとはな」 「ああ……正直な所、俺も想定外だった。だれが晴信のストッパー役をやればいいのだろうか?」 「悩むのそっち!?」 晴信の突っ込みは華麗にスルーして、 「スルーすな!」 「うっせえな。ほら、Aに着いたぞ?……何だ、隣じゃないか」 A組まで来た所で、隣にS組の教室もあることに気付いた。 「手間が省けた……教室を探すなんて面倒なことをしなくて済んだぜ」 「いいな~瞬一。俺もSに入りたかったな~」 晴信がそんなことを呟いたその時だった。 突如、ブウゥゥウ!!というブザー音が鳴る。 そして。 『佐々木圭介、宮澤晴信。至急職員室に来なさい』 流れてきたのは、晴信の名前と……ああ、確か俺達がクラス分け試験の時にぶっつぶした奴か。 「何の話だろうな?」 「もしかして……試験結果を間違えたとかか!?」 「それはないと思うけどな……とりあえず、行ってこいよ」 「ああ。んじゃまた帰りに」 そう言うと、晴信は職員室まで走って行った。 ……こんな時に、自分の体も空間移動出来るようになればいいのにって思ったりする。 「さて……」 問題は、こっちの方だ。 何故だか知らないが、この扉から無言のプレッシャーを感じる気がするんだよ……。 いや、マジで帰っていいですか? お願いだ……どうか、俺に力を! 「ええい!もうこうなったら勢いだ!勢いに任せて入ってやる!!」 半ば自暴自棄になりながら、思い切り扉を開けた。 バン!と喧しい音をたてて、扉は激突する。 その音に、ついさっきまで談笑を続けていた、クラスメイト達と思われる人達が、一斉に話すのをやめ、俺の方を見てきた。 ……当たり前だが、知り合いなんて殆んどいないような状態だ。 「……スマン。話を続けてていいぞ」 居心地が悪くなった俺は、何時までもこの場に立ち尽くしているわけにもいかないと判断して、さっさと自分の席に向かう。 途中、俺は見慣れた顔を見つける。 「……あ、アイツ」 昨日、ぶつかってしまった少年―――由雪迅だった。 「「……」」 互いに無言状態を貫く。 何だか、喋ってはいけない雰囲気があるような気がして、口を開けないでいた。 「……よぉ」 とりあえず、俺は由雪に話かけてみる。 「……あ?」 面倒臭そうな顔を見せながら、由雪は答えた。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加