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「ん……」
目が覚める。
いつも通りの、気だるい朝。
眩しい光が、俺の体を包み込む。
「眠いな……」
右手で目を擦る―――眠い。
窓から外を眺めてみる―――眠い。
「時間はっと……」
時計で時間を確認する。
デジタル時計には、『06:45』と表示されていた。
「なんだ、全然余裕じゃないか」
ここは寮の部屋だ。
だから学校に行くのにも、徒歩で2,3分の距離で充分だったりする。
ちなみに、男子寮と女子寮の間には、何メートルかの距離が置いてある。
別に俺は、女子に何かしようなどと考えていないのだが、いかんせん家の校長がな……。
それに、他の男子は何をしでかすか分かったもんじゃないしな。
特にアイツは……。
おっと無駄話はここまでにして、着替えるとするか。
「制服に着替えるのもたるいな。しかも今日は魔術服まで持って来いだなんて言うしよ……今日何か特別なことでもあったかね?」
着替えながら、俺は愚痴を零すよう呟く。
寝ている時に着ていた物は脱ぎ、とりあえずワイシャツの袖を通す。
それからズボンを履き、最後に上着を羽織れば、完璧。
俺の学校の制服は、学ランなので、ボタンを閉めるだけで済むから便利だ。
「さて、朝食朝食っと」
朝食はパンと牛乳だけで充分だろ。
という訳で、トースターにパンを入れて……なんてことはしなくてもいい世の中だったりする。
とりあえず皿にパンを乗せ、コップに牛乳を入れて、
「えいっ」
ボゥッと言う音を立てて、パンは丁度いい具合に焼けていた。
今、俺が何をしたか分かったか?
え、分からない?
なら教えてやろう。
今俺は、右手をパンの前に出して、とあることをした。
何、簡単なことである。
炎タイプの魔術を使用したのだ。
こう見えても俺は、魔術師なのだ。
雷山塚学園という、魔術を授業に取り入れている学校に、俺は通っている。
そこにどんな奴らが通っているのかなどは、追々話していけばいいだろう。
だから、この場での説明は敢えて省略させていただく。
「……ところで、俺は誰に話しかけてるんだ?」
知らず、呟いている俺。
しかし、答える者は誰も居ないので、声が返ってくるはずはなかった。
「……ま、いっか」
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