フワフワールド その1

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その場にいる誰しもが、言葉を忘れ動こうとしない。 当たり前だ、漫画や小説の中の設定だと思っていた事が、目の前で起こっているのだから。 一人なら“夢か、あービックリした”で済ませられるものを、集団でソレを目撃しちゃっているから、あら大変。 夢ではないと、嫌でも気づかされるには十分なシチュエーションだ。 “日常”の中に、唖然と静寂が、絶妙なバランスで入り混じった“非日常”が、そこにはあった。 実に奇妙だ。 ぁあ、今すぐタモリに教えてやりたい。 そんな中、来壊彩夏だた一人は違った。 いや、厳密に言うと、回りの動揺とは対照的に、すでに自分の世界を創っていた。 この世界は私の物よ、と言わんばかりの凛とした態度に、少しばかり美しさを感じた。 しかし、阿吽の呼吸というか、暗黙の了解と言うか、そんな来壊彩夏の世界に、誰しもが(そこに足を踏み入れては行けない)と一念発起した。 そんな中、最初に言葉を口にしたのは来壊彩夏だった。 『もう我慢できない。』
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