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「おかぁさん」
不安になって呼んだ、すると、明かりがついているリビングの方でガタガタと物音がする。
「どうしたの、愛里おねぇちゃん」
子供部屋から海里がヨロヨロと出てきた、眠いのか大きな欠伸をしている。
私は海里の手を握って、恐る恐るリビングを覗いた。
白い壁も、木でできた机と椅子も、クリーム色のラグも、全部赤く染まっていた。
「ッ!!」
「どうしたの?」
見ていられない光景だった、顔を引っ込めた、ダメだ、考えてはいけない、アレが何だったとか、あの人は誰だとか。
「キャァァアァアァアアァァァアアァッ!!」
私が頭の中で葛藤している間に海里が勝手に中を覗いた。
海里の悲鳴を聞いて中にいた血まみれの男がこちらに向かってくる。
「海里、部屋に戻るよ」
「おねぇちゃんっ」
「泣くな、泣かないで早く」
海里の手を引いて部屋に戻る、恐らくあっちも私たちがこの部屋に入ったのは分かってるから。
「ベッドの下、隠れて」
「おねぇちゃんは?」
「私は……何とかしないと」
海里をベッドの下に押し込んで私はベッドに潜り込んだ。
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