3人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて男が部屋に入ってくる、真っ直ぐとベッドに向かってくるのが良く分かった。
ちょうどベッドの真横に立ったときに、被っていた布団を男に覆い被せるように投げた。
机の上にあるカッターに手を伸ばして、手に取るのと同時に刃をスライドさせる。
布団が邪魔で上手く身動きが取れない男と距離をとりつつ、カッターを構えた。
あぁ、ダメだ、頭が真っ白になる、何で私はこの男と対峙しようとしてるのか?さっさと海里を連れて逃げてしまえばいい、警察に電話すればいい。
だけど、それが出来ない、海里を守るという使命感が、この男と戦うという選択肢しか選べないようにする。
ダメなんだよ、本当は、逃げないと、逃げないと殺される、父と母のように殺される。
体をズタズタになるまで切り裂かれる、きっと痛い凄く痛い。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、死にたくない、死にたくない、生きたい、痛いのは嫌だ。
怖い……怖いよぅ……。
布団をどけて男が包丁をこちらに向ける、光が反射してキラリと光った。
私は男に飛びかかった、もちろん手にはカッターを持っている。
何とも言えない弾力が私の手に伝わる、そのご弾力性がなくなって柔らかいものに突き刺さった。
分からない、私が何をしているのか、今何が起こっているのか、分からない。
next→
最初のコメントを投稿しよう!