side:K 指切拳万

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私は思わず後ろに飛び退いてしまい、血で足を滑らせて派手にこけた。 「おねぇ……ちゃん…」 四つん這いになりながらも愛里お姉ちゃんの方へ近づいていく、這う度に手のひらに血がついてベタベタする。 近づいたら更に分かった、お姉ちゃんがもう動かないことが。 「警察にはもう通報したから、今はジッとしてないと」 「……」 夢だと思った、だけど夢じゃなかった、つねったら痛かったし、ほっぺたを叩いてもヒリヒリする。 逆に誕生日を祝っていたあの時が夢のようだ。 約束したのに、指切りしたのに、幸せなどない、私は独りになった。 この先に幸せなどない。 私は立ち上がってお父さんの部屋へと向かった、お父さんの部屋にはパソコンがある。 「どこへ行くんだい?」 「パソコン……」 歩く度にペタペタと足の裏が血で床にくっ付いて音がする。 植原くんも後ろからついてくる。 お父さんの部屋に入って、パソコンの前にある椅子に腰掛けて、パソコンを起動させた。 「何するの?」 「ダメだったんだ……きっと」 「……?」 「指切り」 next→
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