side:A 序章

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「はっびばーすでーてぅーゆー」 妹は下手くそな歌を、楽しそうに歌う、自分のために、そして私のために。 私たち姉妹は今日でめでたく、7才になる。 「おめでとう海里、愛里」 「ありがとー」 「ありがとう」 年相応の満面の笑みを浮かべる海里は、蝋燭の立ってるケーキが早く食べたいのか、ジッと見つめている。 私はケーキが好きじゃないからそんなことをしないし、年を重ねることに喜びを感じることができないから、素直に喜ぶ事ができなかった。 「どうした愛里?」 そんな私の態度を察したのか父は私の顔を覗きこんだ。 舐める様にケーキを見つめる海里を尻目に私は静かに首を横にふった。 「なんでもない」 海里は一卵性の双子の妹。 顔も性格もまったく似てない2人。 だからこそ好きだった。 next→
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