side:U 最愛の君

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カタカタ、カチカチと慣れた手つきでパソコンを操作する海里ちゃんは指切りについてインターネットで調べた。 「足りなかったんだよ」 「何が?」 「小指、小指が足りなかったから約束守れなかったんだよ」 パソコン画面をのぞき込んだら、指切りについて書いてあった。 愛の証 約束の証 「小指、集めないと」 「……」 「小指集めたら、お父さんとお母さん帰ってくるかな?」 それは愛里ちゃんも? 愛里ちゃんも帰ってきてくれるの? 「……そうだね、帰ってくるかもね」 思わずそう答えた。 希望と願望、無理だと分かっていても願わずにはいられない。 「うえはらくん……」 「どうしたんだい?」 ぼうっとした表情でこちらを見つめる海里ちゃんを、安心させる為に笑顔を作った。 すると海里ちゃんはいきなり目を輝かせて僕に抱きついてきた。 next→
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