side:U 最愛の君

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九年後 「こんにちは、海里」 「植原くん!!こんにちは」 海里はあれから親戚の人の力を借りながら、小さなアパートに一人で暮らしていた。 高校に上がってからバイトも始めて、今まで世話をしてくれていた親戚の人に少しずつお金を返していた。 「はい、昨日とった分」 「ありがとー、結構集まったね」 僕が渡した猫の指が入ったビンを海里は嬉しそうに棚に飾った。 僕たちは続けていた、小指集めを。 って言っても、動物の小指や人形の小指だ。 人間の小指は一つもない。 ピンポーン 「僕が出るよ」 「あ、ありがとう」 玄関に行こうとする海里を制止させて、玄関に向かった。 「はい」 「こんにちは」 「……ぇ」 「海里の彼氏?」 目の前に居たのは紛れもない愛里だった。 七歳の愛里をそのまま高校生にした、愛里が立っていた。 「あがってもいいかな?」 愛里が小首を傾げて僕に問いかける、可愛い可愛い愛里が今僕の目の前で、僕の目の前に存在している。 next→
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